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こどものオペラ

娘の誕生日パーティーの一環で、バレエやクラシックの好きなお友達とこどものオペラを観劇した。こどものオペラといっても国立オペラ劇場のもので出演者(オトナのオペラ歌手)も、音楽(オーケストラ)もホンモノで本格的。

何が違うかというと、場所が稽古場のような雰囲気で、出演者の顔や、洋服や、靴の装飾まで真近で見られ、また、大道具がどうやって動くかも見られるようになっていて、オペラって何で、一体どのように機能しているのか、ということが一目瞭然でわかるようになっている。歌も音楽のクオリティーもすばらしく子供向けでないので、大人も十分楽しめる内容。しかも大人もこどもも15ユーロである。映画感覚で楽しめる。なんとも贅沢な娯楽だ。

子供向きといえば、休憩なしの一時間という短い時間設定と、お話がAschenputtel(灰かぶり姫;グリム童話のひとつで、日本やアメリカなどではシンデレラとして知られるお話)という子供たちにとってとても親しみのあるお話であるという点。オペラに関してはこども並みの知識しか持ち合わせていない私にとってもとても楽しいひと時だった。

あらすじはご存知のとおり。シンデレラとグリム童話は詳細については少し違うが、貧しい召使が意地悪な親子にいじめられたり、残された靴をてがかりに将来のお姫様を探し出すというストーリーは同じだが、今回のこのオペラでは、演出がちょっとユニークだった。王子様がアジア人(韓国人)で、ダンスを踊るのではなくて、床に靴を脱いで2人でくつろいでいたので、家路に急ぐ際にあわててヒールをひとつ履き損ね、王子の手に残されたという設定。

時間はあっという間に過ぎ、最後はかなり盛り上がって拍手喝采。子供たちも身を乗り出し、大喜びで手が痛くなるまで拍手していた。そしてその帰り際、劇場を出た角にあるカフェに入ってお友達とカカオ(ホットチョコレート)を飲もうということになった。すると、しばらくして、オペラ歌手たちがみんなで固まってグループでやってきた。

向こうもこちらに気づいて(私たちが会場にいたのを覚えていて)、先ほどはありがとうございましたと声をかけると、みなニコニコ顔で挨拶を返してくれた。

すると娘が「あれ、みんなお友達だったの?仲が悪かったんじゃなかったの??」。「実はみんな仲良しなの」。そして隣に継母を見つけて「あ、あの意地悪な人!」。「うふふ、あの役はもう向こうにおいてきたのよ」と笑顔で答えてくれた。その後、疲れているだろうに子供たちがもらったポスターに全員がサインをしてくれていろんな質問に答えてくれていた。

彼らはこどものオペラ専門というわけではないし、舞台からも降りている。それなのにこうして偶然外で出会っても、とても気持ちよく、誠実にこどもに対応してくれてうれしかった。大人にとっては幕が下がり舞台から離れればもう見るほうも、演じるほうも現実に戻るが、こどもはそうはいかない。こどもの夢と現実を上手く支え、さらにすてきな余韻を残してくれた出演者に感謝。

ところで、ドイツでは冬になるとこのAschenputtelやヘンデルとグレーテルのお話がよくお芝居や映画などで見られ、こどもたちにも大人気である。ヘンデルとグレーテルも実の親に森に棄てられる話だし、山では怖い魔女に出会って災難にあう話である。Aschenputtelも怖い継母やこどもたちに差別されいじめられる話が柱となっている。こんな話がなぜこどもたちに愛されて繰り返し見られるのか。

一緒にいたドイツ人に聞いて見ると、いろいろ大変なことがあっても、最後がハッピーエンド、というのがいいのだそうだ。アンデルセンのお話は最後がかわいそうなものが多い(マッチ売りの少女などだろうか)という。そしておそらく、ヘンデルとグレーテルのお話にあるように、親や誰かに頼るのでなくて、自分で(こどもたちが)災難に負けずに問題を解決する(帰る道を探す、魔女にやっつけられそうになったけど最後には逆に自分でやっつけるなど)というところがこどもにとっては魅力なのではないかという。

なるほど。さすがドイツである。これまでにも、ドイツの教育は知識を得るためのものではなくて、自立心を養うことに一番重きを置いていると自身の親としての体験から感じてきたが、だからか、こちらの子供たちは自力で、自立して何かを達成することに一番の喜びを感じるようである。

2年前。娘が最初にヘンデルとグレーテルのお芝居を見たとき、その帰り道にしみじみと「ママは私を森に棄てないでね」なんてしおらしく言ってたっけ。「もちろん棄てるわけないじゃない。かわいい娘なんだから。それに棄てたのは継母とお父さんでしょ。お母さんはそんなことしないわよ」。そういった私の顔をまじまじと見て、よかった、という安堵の顔を見せた後、ちょっと考え込んでいたっけ・・・

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