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冬が来る前に

この夏休み。ドイツの国中が3週間の休みをとる中、忙しい、という便利な言い訳の言葉を悪用して、どこにも娘を連れて行ってやれなかった。

ドイツの「夏の旅行」は、混雑を避けるために州ごとに学校の休みをずらしているくらいの国の一大年間行事である。会社は社員に有給(最低たしか30日が保障されていて、病欠は別枠でこちらも有給!)を消化させないと、罰金刑というお国柄である。猫も杓子も夏の旅行は欠かさない。

そんな中、日本人の夫婦で構成されている我が家の感覚はいまだちょっとずれている。忙しさ、というか正確にはあわただしさおよび段取りの悪さにより、「秋休みには必ず旅行に行こうね」という約束を振りかざして、夏の間は近場の動物園やお友達を招いたり、お友達のお宅に御呼ばれして泊まりにいったりの、小さな特別でしのいでいた。映画は4回も行ったっけ。

そうして夏休みが終わると、秋休みはすぐにやって来た。あまりにも休みのインターバルが短いので、これは夏休みの疲れをとるためにあるものだと理解している。

というわけで、娘のためと、そして約束を守りたい自分のためにベルリン近郊のシュプレーヴァルドという世界遺産の自然地帯にあるスパホテルに小旅行にでかけてきた。

本当はロンドンに行きたかったらしいのだが・・・ 予算的なこともあるし、移動が多い、街歩きを愉しむような旅行はまだ7歳のこどもには早いだろうとも思ったのだ。ほんの短い時間しかでかけられないなら、ゆったりとバカンス気分が味わえるほうがいいと思った。

夫と息子は置いていくし、いろいろな事情もある。直前まで行くかどうか迷っていたが、思い切っていってみたら、「娘のため」「約束は破りたくない」・・・なんていうのがただの言い訳のように、自分がものすごく癒されていた。たった一泊だったのに、ベルリンからかえってきてPCの前に座ったとき、まるで一年間旅行してきたくらいの不思議な感覚に陥ったくらいだ。

考えてみるとそれも無理はない。脱サラして、自分のための「旅行」というのは初めてだし(辞めたときの有給消化の時間とお金は景気よく語学学校に使っていた。今思えば世界一周旅行でもすればよかったのだが。あるいは家族にプレゼントとか)、そう考えると2年ぶりなのだった。いや、よく考えてみると真に「自分のための旅行」なんてものはもしかすると、15年くらいやってないかもしれないと思い至った。

結婚をしていて、家族がいて、自分のための旅行、なんていってはいけない分際なのかもしれない。でも、だからこそ、たった一日でものすごく癒されたし、いろいろな事情がある中、それを許してくれた夫に感謝するばかりである。娘も大喜びで、旅行中は笑顔が一段と輝いていたような気がするが、それは旅行の楽しさや、気持ちよさだけから引き出されたものでなくて、リラックスして楽しんでいるママがいることも一役買っていたように思う。やはり笑顔は笑顔を呼び、幸せは幸せを呼ぶのだ。

しかしながら、これを書いている今も刻一刻と、休みの想い出が徐々に遠くなりつつある。夫への感謝の気持ちも薄れ、時おり憎まれ口をたたく日常にかえってきた。でも、それだってとても平和で幸せなことであるのだ。

※「Green Mobility」最新号のエッセイ『「カフェ」の味わい』http://ebook-trial.com/eBookBuilder/ebook/index.php?userid=green&code=GreenMobility18#35でもこのホテルについて少し触れています。

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