berlin cafe and more

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音が生む静寂

かすかな音で、軽いポップスがかかっている。
ここはブックカフェ。

駅から通りを端まで行き、運河沿いを延々歩き、その先の住宅街にある。ベルリン特有の中庭を持つアパートの中庭側だから、通りからは入り口すら見えない。知っていないと入れないし100%隠れ家のお店といえるかもしれない。

通りに面した門をくぐり、中庭の向こうにかろうじて見える小さな入り口から入ると、そこは巨大な別世界だ。書き物机兼食卓に最適な椅子とテーブルが真ん中に並んでいる。質素でいて、愛着のわく古い木の家具。そしてその周りを、おそらくヴィンテージの北欧のソファーと思われる、シンプルで目に触らない座り居心地の良いソファーが並んでいる。読書欲がそそられる空間だ。

7,80席はあろうか。しかし普通であれば百数十席が軽く入りそうなスペースでゆったりしていて、中庭もある。そこには店内の半分ほどのスペースがあって、木のいすとテーブルが涼しげに並んでいる。こちらには、話したい人たちや、携帯電話を使用している人が自然に集まっていた。

珈琲とサンドイッチ、スープを時間差で頼んだのだが、空になってもどれも下げない。いつまでも並んだままであるのは、狭いテーブルであればつらいところだが、これだけの空間と、テーブルの広さがあれば苦にならない。というか、かえって落ち着くことに気がついた。まるで自宅の書斎で書き物をしているときのような感覚なのだ。最初に店に入った注文のときだけテーブルにきてくれるが、後は追加注文も、お勘定も自分からの申告制。これだけ心地よい空間で、ほっておかれることの贅沢なこと。珈琲一杯の値段では到底得られない美しい時間と空間だ。

平日の中途半端な時間、しかもこのロケーションというのに、案外席が埋まっている。一人客が5~6人、カップルやグループ客が4,5組ほどだろうか。彼らはこの大きな空間で、思い思いのスタイルで静止している。中には長椅子に足を投げ出しているものもいる。大きな窓から光が差し、その光景はまるで静物画である。

すべてが静止している中で動いているものは、中庭から時折入ってくる優しい風だけ。そして、静かに流れ続けるBGMだけだ。

そのかすかな音が、よりいっそうの静寂を生みだしている。



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  • 19.Aug.2011
  • by aya
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