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10年勘違いしていたこと

 ものすごくひさしぶりに夫婦である曲を聴いた。

 ローマにかつて住んでいた夫が教えてくれた曲。イタリアでも当時かなり流行ったようだ。

 タイトルは「Per te(君のために)」。
こんな(ような)歌詞である。

緑とバラ
7月に照りつける太陽
この街のすべて
白い壁やはとや
12月13日
学校の鐘
すべては君のためにある、
君をやさしく愛撫するために。

6月の雨
ひとの微笑み
オレンジエード
尾を振る犬
雲や葉っぱの色
イチゴの赤
...

詩人のペン
綿のシャツ
海の塩
この夜
...

すべては君のために...


 つまり、世界のすべては君のために存在するんだよ、というような歌詞。

 夫が大好きだと教えてくれたこの曲。イタリア語はわからないけれど、聴いた瞬間から、心の核心に触れるようなあたたかい声のトーンに魅了された。夫が歌詞を要約してくれて感動して、そしてさらに好きになった。ストレートに恥ずかしげもなく、(当時の私たちにとっては)おじさんが少年のように歌う、愛の歌。

 結婚してしばらくして、日々のことに忙しくなった。かなり長い間ふたりでただ音楽を聴く、という時間はなくなっていったのだが・・・

 ところが昨日、りゅうにおっぱいをあげながら、急に「音楽を聴いてみたいなあ」と久しぶりに思ったのだ。そして夫がかけてくれたのが、この曲。

 ああ、懐かしいなあ。
「そういえばこの曲好きだったよね、よく聴いたよね」

10年前にふたりで繰り返し聞いたこの曲を、今は大小ふたりの子供を間に聴いている。

 そして、突然わかった真実。
というか解けた誤解。

 これはなんと、愛をうたった歌には違いないのだが、その対象者自分の「こども」であった!

 歌手のJovanottiが自分のこどもの誕生をきっかけにこどもへの愛と健やかな成長を願って作った曲だと。これは初耳だ。私は今の今の今まで、「恋人」への愛をうたったものだとばかり思っていたのだから(そしていい気分になっていたというわけ)。すっかりだまされていたのか。

 しかしこの映像を見たら、まあそんなことはどうでもよくなってしまう。

http://video.nationalgeographic.com/video/player/music/genre-wm/global-pop/jovanotti-per-te-wm.html

 女好き、あるいは世界一のマザコンともいわれるイタリア男が、さらに深くひざまずいてしまう小さき存在への愛の賛美歌である。

 これは、すなわち、自分もそうやって親の元に生まれてきたってことでもある。時がたてば親も子も、つい忘れてしまうことではあるが。

 この曲を聴くと、歌詞の意味なんてわかってもわからなくても、なぜかとてもあたたかい気分になれるはずだ。これはぜひ聴いてみて欲しい。誰に向けて、どんなメッセージがこめられた歌であろうと、人が幸せを歌う歌声は、それが素朴であればあるほど心に響く。

 (時効とするか・・・)

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